新型コロナウイルスが蔓延し、身の回りのものの除菌している方もたくさんいらっしゃるかと思います。
ピアノの鍵盤の消毒のを身の回りのものと同じようにしても大丈夫なのでしょうか?
簡単に手に入る除菌シートは使うとどうなるのかどうかお伝えします!
正しい除菌方法でコロナ対策をしていきましょう!
今回は、ピアノの鍵盤の消毒に除菌シートは使って大丈夫?コロナ対策に正しい除菌方法は?と題してお届けします。
目次
ピアノの鍵盤の消毒に除菌シートは使って大丈夫?
ピアノの中で一番よく触れる部分は、ピアノの鍵盤ですよね。
「ピアノの練習の時に鍵盤を除菌したい!」とか「自宅でピアノのレッスンをしている先生で、複数の生徒が弾くので、鍵盤を除菌しておきたい!」と思っている方は、このコロナ禍の中で一気に増えたのではないでしょうか?
そこで、さっと身の回りの物を簡単に除菌できる、アルコール除菌シートで鍵盤を拭いてしまえばお手軽!と思って、アルコール除菌シートで鍵盤を拭いてしまっている方いらっしゃるのでは……?
ピアノの鍵盤にアルコール消毒はNG?
ピアノの鍵盤の材質は、オーソドックスなピアノであれば、だいたい白鍵は「アクリル」と呼ばれる樹脂、黒鍵には、「フェノール樹脂」こちらもいわゆるプラスチックが張り付けられています。
そのほか、高級機種になると、白健は「人工象牙」黒鍵には、「人工黒檀」が使われています。
これらの材質もおそらくプラスチックなので、アルコールを使ってしまうと、ひび割れたり、異常が出てくる可能性があります。
このようにひび割れてしまいます。
ピアノの鍵盤に、アルコール消毒は絶対に避けてください。
(天然の象牙鍵盤はアルコールOKです。)
ヤマハ・カワイの鍵盤材質の名称のちがい
ヤマハとカワイで白健と黒鍵でそれぞれ材質の名称がありますので、紹介しておきます。
メーカー | 白健アクリル | 黒鍵フェノール樹脂 | 白健 象牙 | 黒鍵 人工黒檀 |
ヤマハ | アクリペット | フェノール | アイボライト | 黒檀調天然木 |
カワイ | アクリル白健 | フェノール黒檀 | ファインアイボリー白健 | ファインエボニー黒鍵 |
☆ヤマハの「白健アクリペット」は、三菱レイヨン株式会社の登録商標です。
象牙は、1973年にワシントン条約にて象牙の輸出入が制限されました。
黒檀も非常に高値で取引されるため、違法伐採などが問題視されています。
そのような影響で、現在のピアノの鍵盤には、人工象牙や人工黒檀が開発されて、高級なピアノ私用される様になりました使用されるようになりました。
人工象牙と人工黒檀のメリット
象牙の特徴としては、吸湿性がいいので、指の汗を吸い取ってくれ、滑りにくいのが大きなメリットです。
しかし、使用していくうちに黄ばんできてしまいます。
その黄ばみが思い出であり、味があっていいという人もいます。
人工象牙は、象牙に寄せて作られた鍵盤です。
アクリル鍵盤に比べると、少しクリーム色で、象牙と同じように吸湿性がよく、滑りにくく弾きやすいです。
ヤマハは、以前、「アイボライト」が出る以前に「ニューアイボリー」という人工象牙を使用していました。
この「ニューアイボリー」は、1985年からグランドピアノで使用していて、品質があまりよくなく、水分を吸収しすぎて、黒檀調天然木が色落ちして白健が黒ずんでしまった時代がありました。
リコール対象でしたが、いまだに知らずにそのまま使用されているピアノも拝見したことがあります。
品質が改良されたのが、「アイボライト」です。
コロナ対策に正しい除菌本法は?
さて、本題です。
ピアノの正しい除菌方法は一体どうすればいいのでしょうか?
新型コロナウイルスは、いまだ未知な点が多いため、現状での最適な除菌方法をお伝えいたします。
鍵盤の素材によって使えるクリーナーが異なります。
こちらが鍵盤素材およびクリーナー別早見表です。
白鍵 アクリル | 黒鍵 フェノール樹脂 | 人工象牙(アイボライト、ニューアイボリー、ファインアイボリー) | 人工黒檀(黒檀調天然木、ファインエボニー) | 象牙 | |
アルコール除菌シート | × | × | × | × | 〇 |
洗剤うすめ液(おすすめ!) | 〇 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
キークリン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
吉澤 キーウォッシュ | 〇 | 〇 | × | × | × |
YAMAHA キークリーナー | 〇 | △ | × | × | × |
甲南 マットクリーナー | 〇 | △ | × | × | × |
おすすめの除菌方法 洗剤うすめ液
私が一番推奨する除菌方法は、食器用洗剤を水で薄めたものを使用する方法です。
どのご家庭でもあるものですので、すぐに除菌することができます!
食器用洗剤には、界面活性剤が使われています。
界面活性剤には、新型コロナウイルスが効果的に除去できると確認されています。
使用方法は、以下の通りです。
洗剤うすめ液の作り方・使い方
①たらいや洗面器などに、500mlの水をはり、食器用洗剤を小さじ1杯ほど(約5g)を入れて軽く混ぜます。
☆食洗器用の洗剤ではなく、スポンジなどにつけて洗う洗剤を使用してください。
新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が使われているか、念のため確認しておいてください。https://www.nite.go.jp/data/000109230.pdf)
②布やキッチンペーパーに①で作った溶液をしみ込ませます。
③溶液が垂れないように固く絞ります。
④鍵盤の表面を拭きとります。
汚れやウイルスを広げないように、一方向にしっかりふき取ってください。
奥から手前に拭いてくださいね。
⑤洗剤うすめ液で拭いてから、5分たったら、布やキッチンペーパーで水拭きして洗剤を拭きとってください。
⑥最後に、布やキッチンペーパーで乾拭きしてください。
注意点がありますので、ご確認ください。
・手指・皮膚には使用しないでください。
・スプレーボトルでの墳霧は、行わないでください。
・作り置きした溶液は、効果がなくなるので、洗剤うすめ液はその都度使い切りましょう。
・食器用洗剤で鍵盤を拭いたあと、そのまま放置すると傷むことがあるようです。
水ぶきしておけば、大丈夫なので、必ず水拭きしてください。
・黒鍵の素材が、黒檀や人工黒檀(木製)の場合は、塗料が取れてシミになる恐れがあるので、水拭きのみで仕上げた方がいいと思います。
教育楽器販売 キークリン
楽器鍵盤クリーナーとして特に研究されたものです。
汚れはもちろん、鍵盤を除菌、洗浄して、ほこりなどを防ぎます。
成分も、界面活性剤が含まれていますので、コロナにも効果はあると思います。
使い方は単純です。
使い方
①柔らかい布やキッチンペーパーにキークリンをしみ込ませます。
②鍵盤の表面を、奥から手前に拭き上げます。
③そのあと、布やキッチンペーパーで乾拭きしてください。
キークリンは、どんな鍵盤でも使えるようですが、象牙や人工象牙、セルロイド、黒檀、人工黒檀の場合の使用は、目立たないところでシミなどにならないか確認してから、使用した方が安心かと思います。
吉澤 キーウォッシュ
象牙、人工象牙、黒檀、人工黒檀は使用できないので、ピアノの鍵盤の素材を確認してください。
わからない場合は、調律師の人に確認してください。
成分は、こちらも非イオン系界面活性剤が含まれていますので、コロナにも効果的かと思います。
使い方は以下の通りです。
使い方
①柔らかい布やキッチンペーパーにキークリンをしみ込ませます。
②鍵盤の表面を、奥から手前に拭き上げます。
商品の説明には、最後の乾拭きのことに関しては記載してありませんでしたが、乾拭きした方がきれいに仕上がりますよ。
YAMAHA キークリーナー
ヤマハの製品ですが、象牙、人工象牙、黒鍵全般(フェノール樹脂も×)は使用できないので、ピアノの鍵盤の素材を確認してください。
わからない場合は、調律師の人に確認してください。
白健のみ使用可です。
成分は、研磨剤、石油系溶剤です。
コロナの対策になるかは、わかりません。
石油系溶剤がコロナに効果的であるかが、わかりませんでした。
使い方
①柔らかい布にクリーナーをつけます。
②白鍵表面をを奥から手前に拭き上げます。
こちらも商品の説明には、最後の乾拭きのことに関しては記載してありませんでしたが、乾拭きした方がきれいに仕上がると思います。
しかし、白健だけ拭くというのも難しいですよね。
少しぐらいついても、問題ないと思いますが、ついてしまった箇所は、きちんと水拭きして、拭き取った方がいいと思います。
甲南 マットクリーナー
こちらは、半艶ピアノや電子ピアノの外装のクリーナーですが、白鍵にも使用できるものです。
象牙、人工象牙、黒鍵全般(フェノール樹脂も×)は使用できないので、ピアノの鍵盤の素材を確認してください。
鍵盤素材がわからない場合は、調律師の人に確認してください。
成分は、非イオン系、阿見山系界面活性剤ですので、コロナにも効果的かと思われます。
使い方
①あらかじめほこりなどを拭き取ります。
②クリーナーを布やキッチンペーパーにしみ込ませて、掃除したい箇所を拭きます。
こちらも、商品の説明には、最後の乾拭きのことに関しては記載してありませんでしたが、乾拭きした方がきれいに仕上がりますよ。
YAMAHAのクリーナーと同様、鍵盤は白鍵のみしか使用できないと記載があります。
私自身この商品を愛用していますが、フェノール樹脂の黒鍵であれば、このクリーナーをつけて異常が起こったことはありません。
こちらの商品に関して言えば、さほど気にしなくても大丈夫かなぁと思います。
しかし、保証はできませんので、もしも黒鍵に異常が起こった場合、自己責任でお願いします。
演奏する前の手洗いやうがいの徹底
なによりも大切なことは、ピアノを弾く前弾いた後に、石鹸で手洗いうがいすることです!
ピアノを弾く前に、アルコールで手指の消毒をするのは構いません。
ただし、手指が完全に乾いてから、鍵盤に触れるようにしてください。
弾いている途中に、顔周りを触ったり、くしゃみをした後は、手指を洗うか、アルコールなどで消毒するといいでしょう。
アルコールを使用してしまった場合
もしもすでにアルコールを鍵盤につけてしまった場合は、おそらく鍵盤がひび割れてきているかと思います。
ひび割れたところが、指にひっかかったりして、ピアノが弾きにくくなる可能性があるがあります。
鍵盤の上面は張り替えが可能です。
ひび割れが気になる場合は、鍵盤の張り替え修理をおすすめいたします。
まとめ
ピアノの鍵盤の消毒については、アルコールの除菌シートは基本的に使用してはいけません。
ノンアルコールの除菌シートであれば大丈夫かと思いますが、念のため、ノンアルコールの除菌シートで拭いたあと、水拭きしておくと安心ですよ。
私がおすすめするのは、洗剤をうすめた溶液で消毒していただくことです。
わざわざクリーナーを買わなくても、ご自宅にあるもので、代用可能ですし、効果もきちんと証明されていますから、安心ですよ。
専用のクリーナーでの消毒も、いいかと思いますが、種類によっては、使用できない鍵盤もありますので、ご注意ください。
以上、ピアノの鍵盤の消毒に除菌シートは使って大丈夫?コロナ対策に正しい除菌方法は?と題してお届けしました。