お子様などのピアノを習い始めるから、ピアノの購入にあたり、ピアノことを調べている人いらっしゃるかと思います。
でも、そもそもアップライトピアノとはなんだんだ?と思っている方もいるのではないでしょうか?
アップライトピアノはなんなのか、仕組みやメリットデメリットを含めて説明していきたいと思います。
今回は、アップライトピアノとは?仕組みやメリットデメリットを紹介!と題してお届けします。
目次
アップライトピアノとは?
ピアノの原型はグランドピアノでした。
グランドピアノは、主にコンサートホールや学校などで使われる奥行きの長いピアノです。
それに対してアップライトピアノは、省ペースでもピアノの演奏が楽しめるように、弦を縦に張って奥行きを狭くして、コンパクトにしたピアノなのです。
今日では、コンパクトな電子ピアノも普及してきていますが、アップライトピアノやグランドピアノのアコースティックピアノとの差は雲泥の差です。
これから説明していく、複雑な仕組みを見ていただければ、その雲泥の差も理解していただけるかと思います。
ピアノの歴史
まず、現在のピアノの原型をつくったのは、イタリアの「バルトロメオ・クリストフォリ」でした。
当時使われていた楽器のチェンバロは、弦を爪ではじいて音鳴らす仕組みです。
そのため、強弱の変化がつけられず、それを不満に思い、1700年ごろ、弦をハンマーで打って鳴らす現在のピアノの原型となる仕組みを発明しました。
クリストフォリは、この仕組みを備えた楽器を、「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(弱い音も強い音も出せるチェンバロ)」と名付けました。
この名前から「ピアノ」と呼ばれるようになったといわれています。
以下がクリストフォリのアクションの仕組みです。
出典:https://www.yamaha.com/ja/musical_instrument_guide/piano/structure/#:~:text=%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%81%AE%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9E%8B,%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%82%92%E7%99%BA%E6%98%8E%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
その後、ピアノ奏法の発達に伴い、改良が進められ、現代のピアノの形になったのが、1821年ごろです。
フランスのエラールにより発明されたグランドピアノのアクションが画期的で、素早い連打に対応できるものでした。
このアクション機構を、レペティション機構(ダブルエスケープメント)といいます。
アップライトピアノの仕組みやメリットデメリット
アップライトピアノの仕組みはどのようになっているのでしょうか?
非常に複雑ですが、グランドピアノと比較したりしながら、できるだけわかりやすく説明していきたいと思います。
合わせて、メリットデメリットも上げていきます。
アップライトピアノのアクション
出典:https://www.kawai.jp/support/buy/diff_up/
こちらは、アップライトピアノのアクションを横から見たモデルです。
まず、アクションってなに?と思いますよね。
アクションとは、ピアノの部品一体のことをいいます。
ピアノは、鍵盤からの力が加わり、その力がアクション部品へ、そしてハンマーへと伝わり、そのハンマーが弦をたたいて音を響かせます。
アップライトピアノのアクションは、グランドピアノとは異なり、無理やり縦型に設計されています。
グランドピアノのアクションは、以下のようになっていて、横型で寝かせている状態なので、ハンマーは重力で戻るため、元の位置に戻るのがスムーズなのです。
その上、ハンマーが完全に元の位置に戻りきらなくても、次の打鍵を打つことができます。
そのため、トリル奏法などの早い連打もスムーズにこなすことができます。
ちなみに、1秒間で約14回音を鳴らすことができます。
出典:https://www.kawai.jp/support/buy/diff_up/
対してアップライトピアノの場合は、ハンマーが弦を打って元の位置に戻るときに、ハンマーは自分の力では戻れないため、以下の2つのバネの力を使ってハンマーをもとの位置に戻しています。
そのため、グランドピアノのように、素早いトリル奏法などには限界があります。
ちなみに1秒間に約7回音をならすことができます。
グランドピアノの約半分の回数しか音をならせません。
そして、部品の数もグランドピアノに比べると少ないので、タッチなどの調整幅が狭くなります。
出典:https://www.kawai.jp/support/buy/diff_up/
アップライトピアノのペダル
ペダルもグランドピアノとアップライトピアノで役割が異なります。
右側から①②③とします。
①のペダルはダンパーペダルといって、グランドピアノとアップライトピアノともに、同じ役割です。
このペダルをふむと、ダンパーという弦の振動を止める部品が、一斉に弦から離れて、音を長く伸ばすことができます。
②はアップライトピアノは、マフラーペダルといって、ペダルを踏み込むと、弦とハンマーの間にフェルトが挟まり、音量を小さく演奏することができます。
グランドピアノは、まったく別の役割のペダルです。
③は、グランドピアノとアップライトピアノともに、ソフトペダルといいますが、アップライトピアノとグランドピアノとで、仕組みが異なります。
アップライトピアノのこのペダルを踏むと、ハンマーが弦に近づいて、弦のあたりを弱くすることにより、音を小さくしています。
ペダルの役割については、別記事で詳しく説明していますので、こちらをご覧ください。
音がなる仕組み
ピアノは、ハンマーで弦をたたいて音を鳴らす打弦楽器です。
そのハンマーで弦をたたいただけでは、小さな音しかなりません。
ハンマーでたたいて弦を振動させ、その振動を駒という部品に伝え、駒から響板という部品に音を伝えて、音を響かせています。
以下の赤で囲った部分が駒という部品です。
上の長い方の駒を長駒、下の短い方の駒を短駒と呼んでいます。
アップライトピアノを裏から見た画像が以下です。
この縦に4本ある柱が支柱、その奥、一面に張ってある大きな板が響板、響板を支えるようにたくさん棒が張られていますが、こちらが響棒といいます。
まず、響板は、ピアノの中で重要な部品で、ピアノのスピーカーの役割を担っています。
響板は、複数枚の板を張り合わせてあります。
柔らかい木材でできていて、駒から伝わった弦振動をその柔らかい性質を生かして、響板全体を震わせて、空気中に音を響かせているのです。
響板は、音をより振動を柔らかく横から見ると反っています。
この反りはクラウンといい、響板をしならせて、振動を増幅させるための構造です。
支柱と響棒は、この響板のクラウンを支えるためにあります。
この響板の木材は、エゾ松やスプルースといった木材で作られていますが、比較的年式が新しめのピアノは、木材の質が落ちていて、響きが悪くなってきているのが現状です。
そして、この響板と弦は、ピアノのサイズによって、大きさが変わってきます。
サイズが大きい方が響板は大きく、弦は長く取れますので、表現の幅がより広がります。
アップライトピアノのサイズについては、以下の記事をご確認ください。
アップライトピアノのメリット
アップライトピアノのメリットを上げていきます!
・グランドピアノに比べると省スペースで置ける
・グランドピアノと比べると、値段が安価
・各メーカー種類が多く、木目の黒色以外のピアノもあるので、インテリアに合わせてピアノを置くことができる
・マフラーペダルで音量を小さく演奏できる
・電子ピアノと比べると、寿命が長い
・響板に響く振動により、音の広がりがよく、強弱ややわらかい音から鋭い音まで音色を変化させることができ、弦の倍音も生まれ、表現力を豊かに演奏ができる
(電子ピアノには、サンプリングされた音源がスピーカーから出るしくみ。倍音はない。)
・電子ピアノに比べると、寿命が長い
・電子ピアノは買取はしてもらないが、アップライトピアノは、買取してもらえる
アップライトピアノは、壁に寄せておくタイプですので、比較的省スペースでおいていただけます。
価格もお手頃なものもありますし、木目のインテリア調のものもありますので、ご自身のインテリアに合わせたピアノを選ぶこともできます。
アップライトピアノのデメリット
アップライトピアノのデメリットは、どのような感じでしょうか?
・グランドピアノに比べると、音の広がりが乏しい
・定期調律などのメンテナンス代がかかる
・移動する際、費用がかかる
・電子ピアノと比べると、圧迫感があり広いスペースが必要
定期調律などのメンテナンス代ですが、調律は、お子様が弾く程度であれば、1年に1回程度、お値段も、1万~1万5千円程度ですので、そこまでかかりません。
調律の頻度についての記事もあります。
よければ参考にしてください。
大きさは、電子ピアノに比べると、奥行きが若干長いですが、幅は鍵盤の長さは同じですので、そこまで変わりません。
まとめ
アップライトピアノの仕組みをグランドピアノと比較したりしながら、説明させていただきました。
アップライトピアノの内部をご覧になったことがない方は、こんなに複雑だったんだとびっくりされたのではないでしょうか?
鍵盤から伝わった力をアクションを通じてハンマーをたたいて、弦を振動させて、駒から響板へ振動を伝達させて、音を響かせています。
アップライトピアノは、デメリットよりもメリットの方が圧倒的に多く、お子様などがピアノを習うのに電子ピアノと迷われている場合は、アップライトピアノを選ぶのがおすすめです。
以上、アップライトピアノとは?仕組みやメリットデメリットを紹介!と題してお届けしました。