アップライトピアノの購入を検討している方の中には、中古ピアノを選択肢に入れている方も多いように感じます。
ピアノ購入で気になることは、やはり値段の相場ですよね。
アップライトピアノの中古の場合、ヤマハとカワイとでは、値段が違いがあるのでしょうか?
どのようなピアノを買うべきなのか、逆にどのようなピアノを買ったら失敗してしまうのかなど、選び方のポイントを紹介していきます。
今回は、アップライトピアノの中古の相場の値段は?選び方を紹介!と題してお届けします。
アップライトピアノの中古相場は?
それでは、さっそくヤマハとカワイ、その他のメーカーの中古アップライトピアノの相場を見ていきましょう。
今回は、一番需要のある国内メーカーの相場をお伝えします。
ヤマハの中古アップライトピアノの平均相場
ヤマハの中古ピアノの相場は、30万~70万円ぐらいです。
どこの販売店にいっても、ヤマハのピアノが一番台数が多いでしょう。
カワイの中古ピアノの平均相場
カワイの中古ピアノの平均相場は、30万~50万円ぐらいです。
カワイは、ヤマハよりは安く購入できます。
値段は安いですが、品質も悪くはありません。
ただ、台数がヤマハほど出回っていないため、選べる台数は限られるでしょう。
その他のメーカー
その他のメーカーは、ディアパソンやアポロ、シュベスターなどの中古ピアノの平均相場は、20万~50万円ぐらいです。
ヤマハやカワイ以外のメーカーは、品質にばらつきがあるので、ピアノのことがわからなくて、どれを購入したらいいかわからないという方には、おすすめしていません。
アップライトピアノの中古の選び方を紹介!
ピアノを購入を検討している方は、「ピアノのことを全然知らないので、どれを選べばいいのかさっぱりわからない!」とおっしゃることが多いです。
ピアノの経験のない方ならなおさらですよね。
ポイントをおさえながら紹介していきます!
まずは、中古アップライトピアノの値段の違いは、どこからくるのかを見ていきます。
中古ピアノの値段の違い
先ほど中古ピアノは相場値段は、25万~70万円とお伝えしました。
値段の幅、結構ありますよね。
この値段の幅は…
- 年式
- サイズ
- グレード(ランク)
- デザイン
- メーカー
この5つが値段の決め手となっています。
具体的に掘り下げましょう。
年式
中古ピアノには、もちろん年数がたった古いピアノから、新しい年代のピアノまであります。
年式の古いものが安く、年式が新しいものは、高い値段がつきます。
サイズの違い
アップライトピアノには、サイズがざっくりと4つあります。
一番大きいサイズが、高さ131cmのタイプで、これを3型と呼んでいます。
中くらいサイズが、高さ126cmの2型。
小さめのサイズが、高さ121cmの1型。
そして、さらに小さいのが、高さ110cm前後のコンソールです。
一番大きい3型が値段が高く、小さいモデルは値段が安くなります。
アップライトピアノのサイズについては、過去の記事に詳しく書いています。
グレード(ランク)
グレードとは等級・階級といった意味ですが、ピアノでも同じような意味です。
使われている木材や金属類の素材、外装の構造が、グレードによって違います。
もちろん、グレードが高いモデルの方が値段が高く、グレードが低いものが安くなっています。
例えば、グレードが高いものだと、アップライトピアノの内部の部品がグランドピアノ仕様の部品が使われていたり、外装面が*トーンエスケープといって、外装面に隙間がある構造になっていたりします。
このように隙間を作ることで、音を逃がすことができるので、音がこもらず、気持ちよく演奏することができます。
*トーンエスケープは、ヤマハの言い方で、カワイではトーンスプレッターと言います。
デザイン
デザインは、先ほどのグレードの項目にもかぶってきますが、外装面の構造や、凝った装飾がついていたりするものがあります。
日本のピアノのスタンダードカラーは黒ですが、木目のタイプのピアノもあります。
こちらも、外装面の構造や装飾、色などが、スタンダードモデルと違う場合は、値段が上がってきます。
なぜ木目のタイプのピアノが値段が高いのかというと、木目調のピアノには、外装面に美しい木目の天然化粧板を使用しています。
この天然化粧板が高価で、塗装にも技術が必要なため、コストがかかっています。
そのため、値段が高くなっています。
上記の画像の木目のインテリアピアノ、装飾とても凝っていますよね。
ちなみに木目調の場合、黒のピアノと比べて音色などに影響があるかというと、厳密にいえば若干あるといわれています。
黒のピアノよりも、外装の材質がいいので、響板だけでなく、ピアノ全体で音を響かせているのです。
黒のピアノと聞き分けることができるのかというと、調律師の私でも難しいぐらい微々たる違いではあります。
木目調のピアノは、背の小さい機種が多くあるのですが、高さ110cm前後のコンソールと呼ばれるピアノは、小さすぎるので、おすすめしていません。
コンパクトなピアノがいいという場合でも、高さ121cm以上のピアノをおすすめします。
メーカー
先ほど、値段相場でご確認いただいたかと思いますが、ヤマハ以外のメーカーはわりと安いですよね。
ヤマハは、ブランド料があるからということもありますが、品質の違いもあると思います。
私は、長年様々ピアノを調律をしていて思いますが、ヤマハは、圧倒的に安定感があり、調整もしやすいです。
ヤマハとカワイの違い
ヤマハとカワイの違いを紹介します。
それぞれの特徴を比較しましょう。
ヤマハの特徴
ヤマハは、華やかでキラキラとした明るめの音色というのが特徴です。
人によっては、キラキラしすぎ、キンキンしていると感じることもあります。
品質が安定していて、一番おすすめしやすいピアノです。
近年は、品質が落ちてきています。
少子化によってピアノが売れにくくなったということ、いい木材が手に入りにくいことも原因のひとつにあります。
カワイの特徴
カワイの特徴は、落ち着いた優しいまろやかな音色が特徴です。
そして、タッチが重めのものが多い傾向にあります。
人によっては、こもっている、音が暗いと感じることがあります。
カワイも品質は落ちてきていて、結構早い年代からアクション部品のほとんどが樹脂、いわゆるプラスチックが使われています。
この影響で、少しでも湿度が高いところにピアノを設置していると、スティックといって部品の動きが鈍くなります。
ヤマハとカワイどっちを選ぶのがいいのか
ヤマハとカワイ、どっちがいいかは、結論みなさんそれぞれの「お好み」です。
上記に示したことは、一般的に言われていることであって、ヤマハのピアノでも、カワイを思わせるようなピアノもあります。
逆も然りで、カワイのピアノでも、ピアノによってはヤマハに近い音のものもあるのです。
というのも、ピアノは同じ機種であっても、ピアノ一台一台、それぞれ音色やタッチが異なります。
同じ設計で作られていますが、響板など木材の部品を全く同じ木目のものを用意できませんし、ハンマーも、どのピアノも同じ固さに調整することはできません。(ハンマーの固さ調整は、手作業。)
なので、ピアノそれぞれに個体差があり、ヤマハとカワイどちらがいいのかというのは、一概に決めることは難しいです。
特に中古ピアノは、個体差が大きいです。
中古ピアノの場合、買取る前の持ち主がどれだけ弾いていたかや、設置環境などによって、音色や状態も変わってきます。
実際に販売店に行ってみて、しっかりと指弾してみるのが一番いいです。
立ったままポロンポロンと音をならすだけでなく、きちんと座って、単音、和音を弾いてみてください。
弾ける方なら恥ずかしがらず、弾ける曲のワンフレーズを弾いてください。
きっと、弾いているうちにピアノの個体差がわかってくると思います。
いろいろなピアノを弾いているうちに、ご自身の好みの音やタッチがわかってくるかと思います。
販売店選び
大事になってくるのが、販売店の選び方だと思います。
これはとても難しいのですが、一番大事ですね。
どこの販売店も、在庫状況の事情や、販売員のノルマがあったりと、ノルマがないとしても、売上目標はあるでしょうから、その時々で売りたいものをおすすめしてきます。
そこまでいいピアノでなくても、売らなければいけないので、いいことばかりを盛って、上手にセールストークしてきます。
人間不思議なもので、いい話ばかり聞いていると、惑わされてしまうものです。
どんなピアノがほしいかしっかりと決めた上で、お店に向かった方がいいです。
あと、販売店のピアノの修理技術がどれほどのものかということも、重要なのですが、素人で技術が優れているのかどうかなんて、なかなか検討もつかないと思います。
なので、一番いいのは信頼できる調律師の方と一緒に選びに行くのがおすすめです。
しかし、なかなかピアノ購入する前の段階で、信頼できる調律師の人なんて、知る由もないと思います。
以下の点を注意して、販売店を選んでみてください。
販売店を選ぶポイント
・在庫がたくさんあること
在庫がたくさんあると、予算内に見合ったピアノが多数ある可能性が高いです。
いろんなピアノを弾き比べてみて、自分の気に入ったピアノを見つけることができると思います。
あと、春や秋はピアノのセールシーズンなので、セールやバーゲンと銘打って、ピアノの在庫を増やして、倉庫などの広いところでセールをしている販売店も多いです。
セールやバーゲンといっても、目玉商品の数台安くしてあったりしますが、本当のところ大幅値下げはしていないピアノがほとんどですけどね。
しかし、台数は揃えてあることが多いでしょうから、ネットでお近くで開催されるセールの情報をみて、行ってみるのはいいと思います。
その際は、セールストークに注意してくださいね。
・お店に調律師がいること
調律師がいると、ピアノの最低限のメンテンスはされているでしょうから、状態のいいピアノに出会える可能性が高いです。
中古ピアノの良し悪しの見分け方
中古ピアノの良し悪しの見分け方、他サイトでいろいろと見かけますが、素人では簡単ではないと思っています。
響板の割れがないかチェックするなどといったことが、他サイトで書かれていますが、響板の割れているかどうかちゃんと確認できたらいいですが、恐らく難しいと思います。
それに、店頭に置いているピアノが必ずしも納品されるとは限りません。
店舗によっては、在庫をたくさん持っていて、複数ある同じ機種の在庫から納品されることがあります。(以前私が働いていた会社がそうでした。)
納品前に、最終チェックのため工房へ移動させないといけないので、店舗から工房へ運び込むよりも、在庫から工房へ運んだ方が手間なく済むからです。
なので、販売店に行ってピアノの状態を確認したところで、そのピアノが納品されるかどうか、わからないということです。
しかし、店頭のピアノを確実に納品してもらえる方法がひとつありますので紹介します。
展示しているピアノを確実に納品するには
ピアノには、ピアノ一台一台に製造番号がうってあります。
その製造番号を控えておいて、店員の人に「この展示してある現物がほしい。製造番号確認してあるから、納品後確認する。」と伝えたら、そのピアノが確実に納品されると思います。
製造番号は、アップライトピアノの場合、上の蓋を開けて、高音側のフレームに記載されています。
ヤマハでない場合は、中央より低音側に記載してあったりします。
ピアノの購入する時にチェックするといいこと
ピアノを選ぶときにチェックした方がいいことをまとめておきます。
次の通りです。
・内部にサビカビが残っていないか
・音の響きや音程にむらがないか(低音は特に気にした方がいい)
・クロスやフェルトの消耗部品が交換されているか
・響板割れがないか(できれば駒割れも確認した方がいい)
という感じです。
響板割れと、駒割れの確認は先ほどもお伝えしましたが、難しいです。
ただ、駒割れしているピアノは、意外に少なくないので注意が必要です。
上記の画像、ヤマハのピアノですが、赤い四角の中央あたりが一筋線が入っているのわかりますか?
これが駒割れです。
ヤマハでよくあるのは、高音側の駒なのですが、アップライトピアノの蓋を開けても確認できず、アクションを取り外さないと確認できません。
ちなみに、駒割れはひどくなるとこうなります。
これはひどいですよね。
駒割れすると、調律が整わなくなるので、一音一音弾いてみて、音が均一にそろっているかを、確認するのがいいと思います。
先ほどお伝えしたように、立った状態でポロンポロンではなく、きちんと椅子に座って、一音一音確認しながら、弾いてみてください。
アップライトピアノの中古の相場の値段のまとめ
アップライトピアノの中古のヤマハの相場の値段は、30万~70万円ぐらいです。
アップライトのカワイの中古は、25万~50万円ぐらいです。
選び方は、まずは販売店を選ぶことが大事です。
在庫が豊富にあって、お店に調律師がいるお店を探してみてください。
可能であれば信頼できる調律師の方に同行してもらって、選びに行くのがいいと思いますが、難しいと思うので、ご自身でチェックできることを紹介しました。
ピアノを指弾して、内部をチェックして、ピアノを決めることができたら、製造番号を控えて、展示しているピアノを納品してほしい旨を伝えておきましょう。
製造番号を控えておけば、チェックしたピアノが確実に納品してもらえます。
以上、アップライトピアノの中古の相場の値段は?選び方を紹介!と題してお届けしました。