ピアノを弾いていると、あれ?鍵盤が戻らない!ということがあると、焦ってしまいますよね。
鍵盤が下がったままになることは、なにに原因があるのでしょうか?
自分で修理することは、できるものなのでしょうか?
大まかな原因や、修理費はどのぐらいかかるのかどうかを紹介していきます。
あと、鍵盤が戻らないような症状が出ないようにするには、どうすればいいのかも、説明していきます。
今回は、ピアノの鍵盤が戻らない時は自分で修理できる?下がったままの原因や修理費を紹介!と題してお届けします。
目次
ピアノの鍵盤が戻らない時は自分で修理できる?
ピアノの不具合でよくある症状が、「鍵盤が戻らない」であったり、「鍵盤の戻りが遅い」ことです。
ピアノの部品は、グランドピアノで約1万個、アップライトピアノで、約8千個もあります。
その部品が一つでも、消耗したり、位置が変わったり、温度や湿度変化の影響を受けたりすると、不具合がでてきます。
戻らない鍵盤を自分で修理できる?
戻らない鍵盤が出てきた場合、自分で修理できたら…と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら、一般の方が、ピアノの修理をすることは、基本的にできません。
ピアノ専用の工具が必要なことがほとんどなので、無理せず、調律師に依頼するようにしてください。
では、鍵盤が戻らないのは、具体的にどのような原因で、不具合が出てくるのでしょうか?
ピアノの鍵盤が下がったままの原因や修理費を紹介!
鍵盤が戻らなくなる原因は様々です。
グランドピアノとアップライトピアノとでは、部品の構造が異なるため、原因が違うということもあります。
修理費についても、相場をお伝えしていきたいと思います。
鍵盤が戻らないよくある原因
鍵盤の戻らない原因として考えられることは、たくさんあります。
中でもよくある原因を紹介していきます。
多湿の影響
湿度が高いときに、影響が出てくるのは、クロスや木材で、湿気を含み膨張してしまいます。
どこのクロスが膨張するかというと、鍵盤のクロスが一番膨張しやすいです。
クロスが膨張すると、鍵盤側に貼り付けてあるクロスと、鍵盤を支えている金属のピンとの隙間がせまくなり、鍵盤がピンに圧迫される状態になります。
鍵盤の奥の方のクロスも膨張することがありますが、上記の手前のクロスの方が膨張しやすい傾向があります。
対処方法は簡単で、このクロスを専用の工具で圧縮して、クロスとピンの隙間が適切に調整すると、症状が改善されます。
この調整を、キースティック調整といいます。
あとは、アクションの運動の可動部である、センターピンのまわりのクロスです。
このクロスが膨張すると、アクションの運動が妨げられ、鍵盤が戻ってこない状態になることがあります。
対処方法は、膨張具合が軽ければ、センターピンに潤滑剤をつけるとよくなることもありますが、ひどい場合は、センターピンを交換して、クロスとの隙間を調整します。
これらの症状は、湿度が高いお部屋に置いているピアノには本当によくある症状で、雨が多い梅雨の季節にも発症しやすいです。
稀に、クロスが年数経過で硬直してしまっている場合は、クロスの交換が必要になることもあります。
鍵盤とセンターピンの周りのクロスが膨張すると、鍵盤のタッチの重さにも関係してきます。
金属類のさび
主に、鍵盤を支えているピンが錆びて、鍵盤の動きを妨げていることがたまにあります。
鍵盤のピンのサビをきれいに磨いて対処します。
こちらも、鍵盤のタッチの重さに関係しています。
鍵盤の隙間にものが挟まっている
ある時突然、鍵盤が戻ってこなくなった場合は、鍵盤の隙間にものが挟まっている可能性が高いです。
鍵盤の隙間に挟まってしまうのは、グランドピアノとアップライトピアノともにどちらもよくあります。
ものが挟まっている場合、1鍵押すと、その隣の鍵盤も一緒に動いたり、鍵盤が下がったまま戻らないという症状が出ます。
よく挟まっているものは、クリップや厚みのあるシール、カード類、ビーズ、BB弾、コインなどです。
お子様がピアノを弾いているお宅でよくあるケースで、練習の合間にカードやビーズなどで遊んでいると、入ってしまうことがあります。
鍵盤の下にものが落ちている
鍵盤の奥にものが落ちていることは、グランドピアノに多いです。
なぜかというと、グランドピアノの鍵盤蓋は、半開きにすると鍵盤蓋の奥に隙間ができます。
その隙間から、するっと落ちてしまいやすいです。
鍵盤蓋にものを乗せたまま、蓋を開けると間違いなく隙間から鍵盤奥に落ちます。
アップライトピアノのグランド型のタイプ(鍵盤蓋がグランドピアノ仕様のタイプ)も、よく落ちやすいですね。
鍵盤の隙間に挟まりやすいシールやカード、クリップ、ビーズ、BB弾の他に、消しゴムや鉛筆など、大き目のものも落ちていることがあります。
鍵盤の中にものが落ちると、落ちたものの大きさや、落ちた場所によっては、鍵盤が戻らないなどの不具合がでることがあります。
なにかものを落としてしまった場合、鍵盤蓋を外して、ものを取り出せばいいのですが、調律師以外の方が鍵盤蓋を外すことは、あまりおすすめできません。
鍵盤蓋を外すこと自体は、わりと簡単にできますが、そのあと、取り付けるのは慣れていないと結構苦労するかと思います。
鍵盤蓋は、重い上に、長さもあるため、扱いにくいです。
慣れていない方が下手に取り付けると、間違った角度で取り付けようとしたりするので、側面が挟まってしまい、塗面に擦り傷をつけてしまうことがあります。
ものを落とした時は、無理せず、調律師にお願いするようにしてください。
この鍵盤蓋の隙間、案外大きいので落としてしまうことは本当によくあります。
落下の予防できるグッズが、あるそうなのですが、私自身、詳細は調べたことがないので、興味ある方は、探してみてください!
鍵盤の手前(木口)が板に挟まっている
鍵盤正面から見た面を木口と呼んでいます。
その木口が、鍵盤の手前にある、口棒という板にひかかって、鍵盤が戻ってこなくなります。
また、木口の素地がセルロイドという素材の場合、木口が反ってくることがあり、この場合も反り具合によっては、口棒に当たってしまいます。
対処方法は、口棒と鍵盤の隙間を広げるか、木口が反っている場合は、木口を交換します。
木口交換の場合、ご自宅での修理は難しいので、鍵盤を持ち帰らせていただいて、工房にて修理することになります。
修理費について
修理費は、メーカーや楽器店、独立している調律師によって、金額に差があるかと思います。
ごく一部の鍵盤が戻らない場合は、そこまで大掛かりな作業になることは、少ないため、普段の調律の時になおしてもらえることが多いです。
中でも、先ほどお伝えした、鍵盤のクロスを圧縮する修理、キースティック調整ぐらいであれば、調律代にプラスして費用が発生することはないと思います。
「調律の時期がまだまだ先」という場合は、出張費はかかるかもしれませんが、その他は料金は発生しないかと思います。
しかし、中には数鍵しか不具合がない、あるいは、キースティック調整のような簡単な修理でも、修理代を請求する業者もあります。
このような簡単な修理でも、料金が発生する場合は、依頼している調律業者を見直してもいいかもしれません。
戻らない鍵盤がたくさんある場合や、状態によっては、料金が発生することもあるかと思います。
木口の修理の場合は、全交換でだいたい2万円前後が相場です。
鍵盤下がったままにならないように予防する方法
鍵盤が戻らない症状が出ないために、予防できることを紹介しておきます。
まずは、ピアノをよく弾くことです。
弾くことにより、部品が動きやすくなります。
逆に弾いていないと、部品の可動部が固くなってしまいますので、部品を動かすという意味で、定期的に音をならすといいかと思います。
あと、お部屋の湿度を確認してみてください。
ピアノに最適な湿度は、約40~60%ぐらいです。
湿度が60%以上あると高めですので、お部屋を除湿するようにしてください。
調律師によっては、乾燥剤をすすめてくる人もいるかと思いますが、乾燥剤は気休め程度にしか効果がありません。
ピアノには、たくさん隙間があるので、お部屋全体の湿度を調整する必要があります。
除湿機やエアコンがおすすめです。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
ピアノの鍵盤が戻らないのまとめ
ピアノの鍵盤が戻らない原因は、鍵盤やアクションのクロスの膨張の影響からの動作不良、鍵盤の間にものが挟まっている…など、様々です。
残念ながら、鍵盤が戻らない症状が出たときは、自分で修理をすることは、できません。
しかいs、ほとんどの場合、調律のときになおせるような簡単にできることが多いので、料金は、調律代のみで済むことがほとんどなので、修理費は必要ないかと思います。
調律の時期がまだという場合は、出張費はかかるかもしれません。
以上、ピアノの鍵盤が戻らない時は自分で修理できる?下がったままの原因や修理費を紹介!と題してお届けしました。