ピアノのメーカーといえば、ヤマハとカワイが有名ですよね。
ピアノを購入を検討している方だと、どちらがいいの?違いはなんなの?と思われるかもしれません。
カワイのピアノを持っている方の場合、カワイってどうなの?と聞かれることがたまにあります。
ヤマハとカワイのピアノの音色の違いや特徴、そして両社の関係も紹介したいと思います。
今回は、ヤマハとカワイのピアノはどっちがいい?音の違いや両社の関係や特徴も紹介!と題してお届けします。
目次
ヤマハとカワイのピアノはどっちがいい?
国内のピアノメーカーで、有名なのは、やはり「ヤマハ」と「カワイ」の2大メーカーです。
世界に誇るといってもいいでしょう。
ヤマハとカワイ、どちらの方がいいの?という質問、たまにされます。
正直どっちもよさが違うので、いいと思うもの、よくないと思うもの、人それぞれの好みによって変わってきます。
具体的にどう違うのかを、少しずつ説明したいと思います。
音の違いや両社の関係や特徴も紹介!
それでは、ヤマハとカワイの音の違いなどの特徴を紹介していきます。
ヤマハとカワイの関係も詳しく説明いたします。
ヤマハとカワイの特徴
日本のメーカーは1900年代のころ、ピアノメーカーは約250社もありました。
その中でも、飛びぬけて急成長したのが、「ヤマハ」と「カワイ」でした。
現在も、トップシェアを誇るヤマハとカワイの特徴を紹介しましょう!
ヤマハピアノの特徴
まず、ヤマハの音色の特徴は、全般的にきらきらした華やかな明るい音色と言われることが多いです。
比較的タッチが軽めで、万人受けされるようなピアノかなと思います。
ただ、*製造番号が500万台以降(1992年前後)のピアノは、こもったような音のピアノが多く、タッチも若干重めの傾向があります。
600万台以降(2002年以降)になってくると、音は明るい感じに戻ってきますが、タッチは重めの傾向があります。
*製造番号…ピアノ一台一台に続き番号がつけられていて、番号によって製造されたおよその年代がわかります。
ヤマハはヤマハでも、製造された年代によって、音色もタッチも変化していますし、同じ品番でも、全然違うタッチ、音色のこともあります。
ヤマハは世界中のピアノの中で、一番調整がしやすいピアノですし、一台一台の個体差が少ないので、調律師の私にとって、とてもおすすめのメーカーです。
カワイピアノの特徴
カワイのピアノの特徴は、タッチは重め、音色は優しくまろやかと言われることが多いです。
カワイのアクションにはデメリットが多いように思います。
アクションは通常木製ですが、カワイのアクションは木製でなく、ほぼ樹脂製(プラスチック)の部品が使用されています。
(アップライトピアノ、グランドピアノともに)
これらは、経費削減のため、樹脂製となっています。
出典:https://www.kawai.jp/support/buy/point/typed/
上記の画像は、グランドピアノのアクションですが、黒い部分は全てプラスチックとなっています。
なので、ハンマー以外の部品はほぼプラスチックになっています。
プラスチックの影響で、不具合が起こりやすいというデメリットがあります。
アクションの関節部分に、センターピンという細く小さいピンがあります。
ピンを中心にアクションが動きますが、ピンの周りには、ブッシングクロスというクロスに囲われていて、クロスはプラスチックの覆われています。
(上記の画像は、グランドピアノの木材のアクション部品)
なので、少しでも湿気が多いと、クロスに集中してため込んでしまうため、クロスが膨張して、センターピンが窮屈になってしまい、動きが鈍くります。
こうなると、鍵盤を押したあと、部品が戻らず、音が出なくなったりします。
↑こちらはヤマハのアクションですが、ハンマーが元の位置に戻っていないですね。
こんな状態になることを、センターピンがスティックしていると、調律師はいいます。
ヤマハでも一部樹脂製の部品を使用していますが、不具合が出にくい影響の少ない部品のみに使用されているので、カワイほどひどい不具合は多くありません。
なので、カワイのピアノは、湿度管理をしていなかったりすると、センターピンのスティックなどの不具合が起こりやすいです。
家の近くに海があったり、間取り的に湿度の高くなるお部屋にピアノを置く場合は、注意が必要です。
ヤマハとカワイの関係
ヤマハとカワイは、日本のピアノの歴史を語る上で、欠かせない存在です。
まず、ヤマハの創業者は、山葉寅楠(やまは とらくす)です。
カワイの創業者は、河合小市(かわい こいち)です。
創業年は、ヤマハが1887年、カワイが1927年ですので、ヤマハの方が早く創業しています。
山葉寅楠は、浜松にあった小学校にあったアメリカ製のオルガンが壊れ、これを山葉寅楠が修理をしたことがきっかけで、自らオルガンをつくることに成功します。
その後、日本楽器製造所株式会社を設立し、国もピアノ制作に関心を寄せるようになり、国からの助成金で、アメリカへピアノ会社を視察しました。
1900年に国内初のアップライトピアノの製造に成功します。
この時にすでにカワイの創業者、河合小市は、山葉寅楠のもとでピアノ製造や調律を学んでいました。
ピアノのアクションを独自で開発したのは、河合小市だといわれていますので、河合小市がいなければ、国内でピアノが製造できていなかったかもしれません。
河合小市はその後、アクション部長などを務めましたが、1926年労働争議がきっかけで、ヤマハ(当時は日本楽器株式会社)を退社し、河合楽器研究所(現在の河合楽器製作所)を創設しました。
そして、ヤマハとカワイは共闘し、両社ともに機械を導入し、大量生産ができる体制となっていました。
高度経済成長に突入すると、日本のピアノに売れ行きは、凄まじい勢いで、当時は「一家に一台ピアノがあった」と言われているほどです。
その流れを追うように、日本のピアノメーカーは、ヤマハとカワイ以外に、250社ほどあったといわれています。
しかし、ヤマハとカワイの勢いについていけず、ほとんどのメーカーが廃業してしまいました。
ヤマハとカワイは国内の2大メーカーとして成長を続けましたが、ここ最近は、生産台数は中国のメーカーが世界一となっているようです。
それでも、国際コンクールでヤマハとカワイのピアノが選ばれていたりと、技術の高さは世界に誇っています。
このように、ヤマハとカワイは、お互いに切磋琢磨しあって成長してきました。
両社は、切っても切れない関係にあるといえると思います。
まとめ
ヤマハとカワイは、どちらがいいということではなく、両社それぞれのよさがあるので、みなさまそれぞれの好みで、違ってくるのかなと思います。
ヤマハの特徴は、華やかな音色で、タッチは軽め、カワイの特徴は、優しい音色で、タッチは重めというのが、大まかな特徴です。
しかし、アコースティックピアノは、個体差があるので、同じメーカーの同じ機種でも、ピアノ一台一台違いがあります、
ヤマハとカワイの関係は、カワイの創業者が、ヤマハで勤めていて、ピアノ製造に重要なアクションの制作に携わっていました。
その後、ヤマハを退社しますが、カワイとして独立し、ヤマハと競争しあって、両社とも大きなメーカーに成長してきました。
なので、両社のどちらかがかけていたら、ここまで大きな会社になっていなかったかもしれませんね。
以上、ヤマハとカワイのピアノはどっちがいい?音の違いや両社の関係や特徴も紹介!と題してお届けしました。