ピアノの平均寿命はいったいどれぐらいかどうか、気になりますよね。
ピアノは高価なものですし、できるだけ長く使いたいものです。
ピアノは、平均でどれぐらいもつものなのでしょうか?
ピアノをたくさん練習する音大生の場合は、やはり寿命は短くなるのでしょうか?
ピアノのメーカーのヤマハのピアノの寿命、その他のメーカーの寿命のお話もしていきます。
今回は、ピアノの寿命の平均は?オーバーホールは何年でした方がいい?と題してお届けします。
ピアノの寿命の平均は?
一般的にピアノの寿命は、約60年といわれています。
ただし、これはとても大雑把な数字で、実際ははっきりと言い切れないようです。
60年よりも早くに手放される方も多いのです。
車に例えると、新車を購入したとして、3年経って10万キロの走行距離の車、一方は2万キロの走行距離の車があるとします。
どちらが寿命が長いのかと考えると、答えは簡単で、走行距離2万キロの車の方が長持ちしますよね。
そして、10万キロ乗ったら買い替える人もいれば、30万キロ以上乗り続けるという人もいますよね。
ピアノの使用頻度やメンテナンスをしているか否か、ピアノを置いている環境、または、調律師の考え方、ピアノの持ち主の考え方などによって、寿命の考え方もかわってくるのです。
まず寿命の基準の考え方を説明して、ピアノメーカーのヤマハの寿命はどれぐらいなのか、他メーカーと比べて、紹介します。
寿命の基準
寿命は、どこを基準に「このピアノは使えない」と判断するかで、寿命は変わってきますよね。
たとえば、100年前のピアノがあるとします。
そのピアノは、雑音がひどく、ハンマーは弦の溝は深く、音も狂いまくっていて、どうしようもないぐらい傷んでいる状態。
こういう場合、調律をするときは、本来であればA=440~442Hzの高さで音を合わせますが、弦の断線のリスクを避けるため、A=438Hzぐらいの少し低めの高さで調律をしたりします。
そして、ハンマーやアクションの可動部のクロスなどを交換して、なんとか音がなる状態に修理をしたとします。
そのような状態でも、ピアノの持ち主の方がまだまだ使えると判断された場合は、寿命ではないといえますね。
一方で、この状態のピアノを譲ってもらうという人がいたとして、その人がこれはもう使えないと判断すれば、そのピアノは寿命といえます。
というように、人それぞれ考え方によっては、寿命の基準が違ってきます。
部品の寿命
ピアノのは数多くの部品が使われており、経年劣化などにより消耗してきます。
部品が劣化するとその部品が稼働しないことになるため、不具合が起こり、音がならなくなるということに繋がることがあります。
そこをピアノの寿命といえば、寿命という考え方もあるでしょう。
これらの消耗部品は交換ができるので、修理をすればなおるものです。
部品の寿命についてなのですが、はっきりどれぐらいということは非常に難しく、ピアノの使用頻度、ピアノの置いている環境などによって、大きく差があります。
10年で悪くなる場合もあれば、30年もつ場合もあるのです。
いつ部品の状態が悪くなるかわからないので、定期調律と定期点検のときに、消耗しているかどうか確認するということが大事です。
ピアノの致命的な状態
チューニングピンのネジ穴が緩んでいる場合は、致命的な状態になっていると思います。
ピアノは、チューニングピンという金属のピンに専用のハンマーを差し込んで音を合わせていきます。
チューニングピンは、ピン板という木材に埋め込まれています。
経年劣化や過乾燥、あるいは調律をしていくうちに、チューニングピンのネジ穴が大きくなったり、ピン板自体がひび割れてしまうことがあります。
そうなってしまうと、チューニングピンを回しても、チューニングピンが固定されず、音を止められない状態になります。
ネジでいうバカネジです。
調律師は、これを「ズルピン」「ルーズピン」などと言います。
ズルピンになると、調律もできなくなるので、ここで寿命という考え方は多いと思います。
このズルピンになる年数がだいたい、60年~という具合なので、一般的に60年ぐらいで寿命といわれているのだと思います。
しかし、60年以上前のピアノでも、ズルピンもなく調律できるピアノもあるので、はっきりとは、言えません。
ズルピンは、適切に処理すればなおせることが多いです。
1~2個であれば、その場でなおすこともありますが、今後も他の場所でズルピンが出てくることが多々あるので、弦ピン交換、すなわちオーバーホールや買い替えをおすすめします。
ただ、ピン板が割れている場合、なおせないことが多いです。
ピアノの寿命メーカー別
寿命についてお話していますが、ピアノには、複数のメーカーがあり、それぞれピアノの材質などが違うので、寿命も違ってきます。
どのメーカーの寿命が長いのでしょうか?
ヤマハの寿命
ぶっちゃけ国内ピアノメーカーだと、ヤマハの寿命が一番長いかなと思います。
とにかくヤマハは安定していて、メンテナンスがしやすいです。
特におすすめなのは、1990年代に入るまでのピアノがおすすめです。
新品は、品質が落ちているので、どれぐらいの寿命になるのか、今のところ未知数ではあります。
ヤマハのピアノは、消耗部品などを交換しつつ、購入後60年程度弾いていただけると思います。
カワイの寿命
ヤマハの次に有名なピアノメーカーはカワイですね。
カワイは、ヤマハほど安定はしていませんが、決して悪くありません。
カワイのピアノは、機種によりますが、50年ぐらいは普通に弾いていただけるかと思います。
その他のメーカー
その他のメーカーだと、アポロやディアパソンが有名ですね。
ヤマハカワイ以外のメーカーのピアノは、50~60年ぐらいは、消耗部品の交換をしつつ使っていけるかと思います。
音大生の場合のピアノの寿命
音大生となると、ピアノを弾いている時間は長く、たくさん弾くので、その分ピアノも傷みやすいです。
音大生音大生とお話していますが、ピアノ科の音大生は、1日にどれぐらい練習しているのでしょうか?
人によってちがうと思いますが、だいたい5~6間ぐらいは平気で練習している人が多いようです。
ほぼ半日練習することは当たり前ということになりますね。
いやー私にはできません…(笑)。
ピアノの先生も、レッスンで弾いている時間を考えると、そのぐらいは弾いていることになります。
お子様が練習する時間は、長くて1時間ぐらいですよね。
やはり音大生が弾いているピアノは、長く弾いている分寿命が短くなってしまうのでしょうか?
でも、実際にピアノを弾きこんで傷むのは、消耗部品なのです。
弦が切れたり、消耗部品が劣化した場合は、交換すれば支障ありませんが、音色は元通りにすることはできません。
ピアノは弾きこんでいくうちに、キンキンと硬い音色になっていきます。
ハンマーを削ったり、針を刺したりして音色を調整することはできますが、当初の音に戻すことはできません。
なので、当初の音に戻すことを望んでいるのであれば、長時間毎日弾いている音大生やピアノの先生であれば、10年以内に寿命といえるかもしれません。
音色が変わっても、問題ないという方であれば、オーバーホールなど大掛かりな修理を行った場合の寿命は、ざっくり80年ぐらいになるのではないでしょうか?
ピアノの寿命を伸ばすためにできること
ピアノの寿命を伸ばすために重要なことは、やはり「温度湿度管理」です。
そして、定期的なメンテナンスです。
湿度高いと、錆びることにより、金属部分の劣化につながるので、注意が必要です。
逆に湿度が低いと、前述したように木材のやせ、ひび割れなどが起こります。
湿度が高い場合は、修理が可能なことが多いですが、過乾燥による木材のやせは、最悪の場合、元に戻せない場合があるため、気をつけないといけません。
ピアノの最適な温度は、約15~27度、湿度は、40~60%ぐらいです。
すなわち、人間の過ごしやすい温度湿度です。
除湿機や加湿機、エアコンなどをうまく活用して、温度湿度管理してみてください。
このことに関しては、以下の記事に詳しく書いていますので、参考にしてみてください。
ピアノのオーバーホールは何年でした方がいい?
ここからは、ピアノのオーバーホールは、何年ぐらいでした方がいいのかについて、紹介していきます。
まずは、オーバーホールとはなんなのかについて、説明します。
ピアノのオーバーホールとは?
ピアノのオーバーホールは、人間の手術のようなことです。
チューニングピンという、弦を巻き付けているピンが、年数がたったり、調律を繰り返していくうちに、緩くなってきます。
緩くなってくると、調律を保持できなくなるので、太めのピンに交換することで、チューニングピンを固く保持することができます。
オーバーホールは、何回でもできる修理ではなく、1回はうまくできても、2回目となると難しく、なにかしら問題が出てくる可能性があります。
オーバーホールをしなかった場合の寿命は、約60年~に対して、オーバーホールした場合は、100年近くの寿命があるかもしれません。
メーカーや機種、オーバーホールの仕上がり具合、ピアノを置いている環境などによって、ピアノの状態は変わってくるので、やはりはっきりとした寿命は、断言はできません。
どんな状態になったらオーバーホールをすればいいのか
どんな状態になったら、オーバーホールをすればいいのかの目安ですが、これは、調律師や弾き手によって、考え方が様々です。
まず、いえることは、弦を巻き付けているチューニングピンが、保持できなくなって、調律ができなくなったら、オーバーホールは、必須と言えると思います。
保持できなくなる前に、チューニングピンが緩くなってきている時も、オーバーホールした方がいいと思います。
あとは、チューニングピンや弦が錆びているピアノも、目安になります。
「1本唸り」といって、弦1本だけで音をならしているのに、「ウニャー」と音が波打って、聞こえる弦が、複数あった場合も、オーバーホールをおすすめすることがあります。
そのような症状がなくても、どなたかに、ピアノを譲ったりする場合、オーバーホールをすることもあります。
何年でオーバーホールをした方がいいいのか
オーバーホールのことについて、わかったところで、ピアノ購入後、何年でオーバーホールをした方がいいのか、気になりますよね。
メーカーによって、品質などが違うので、目安の時期も変わります。
メーカー別の目安をまとめてみました。
ヤマハのオーバーホールの目安時期
ヤマハの場合、60年以上は、オーバーホールしなくても、使用できることが多いです。
私が調律に伺っているピアノでも、ヤマハで、購入後60年越えのピアノが、現役バリバリで、弾けているピアノが複数あるので、ヤマハは、やはり強いと思います。
ただ、ピアノの設置していた環境がよくないなどの、悪条件が重なると、50~60年で弦が切れたり、緩いチューニングピンが出てきます。
そういった場合は、オーバーホールをおすすめします。
カワイのオーバーホールの目安時期
カワイは、機種によって、いいピアノとよくないピアノとの差が、すごく大きいです。
ランクの低いピアノなどは、よくないことが多く、購入後20~30年ほどで、致命的な症状が出ることがあります。
なので、カワイのピアノをオーバーホールをおすすめするかといわれると、そのピアノの機種や状態などによって、おすすめしない場合もあります。
オーバーホールをしてもよさそうな機種なら、購入後50年~60年ぐらいで、おすすめすることが多いと思います。
その他のメーカー
ヤマハカワイ以外のメーカーは、基本的にオーバーホールはおすすめしていません。
オーバーホールすることにより、余計に状態が悪くなってしまう可能性があります。
ディアパソンというメーカーは、カワイの子会社となり、その後カワイと吸収合併しています。
そのため、カワイで作ったディアパソン製品が多く流通していています。
カワイ製のディアパソン、カワイと合併する以前のディアパソン製品は、どちらも、カワイと同じような感じで、50年ぐらいが、オーバーホールの目安です。
ピアノによってはおすすめしていません。
ヤマハカワイ以外のメーカーでのオーバーホールは、いい仕上がりにするのは難しいピアノもあります。
ピアノの寿命の平均のまとめ
ピアノの寿命の平均は、一般的には60年ほどという方が多いみたいです。
ですが、その基準というのは、チューニングピンのトルクがなくなるのが、60年以上というのが一般的なので、そのようにいわれているということでした。
ただし、オーバーホールをすれば、100年以上弾くことができます。
オーバーホールは、ヤマハはほぼすべての機種で可能ですが、その他のメーカーの場合、おすすめできないこともあります。
そして、音大生やピアノの先生のピアノは、だいたい10年ぐらいで音色が変わってくるので、当初の音色で弾きたいという場合は、10年ほどで寿命といえるでしょう。
音色は気にせず、消耗部品を替えつつ約60年~、オーバーホールをすれば、チューニングピンは復活して、80年~寿命にすることもできます。
ただし、結局はピアノの置いている環境、メンテナンスの有無で大きく変わってくるので、大体の目安として参考にしていただければと思います。
以上、ピアノの寿命の平均は?オーバーホールは何年でした方がいい?と題してお届けしました。