ダンプチェイサーというものがあるのはご存じでしょうか?
初めて聞いたという方もいれば、聞いたことあるという人もいると思います。
なんのためのものなのか、効果は実際のところどうなのか、グランドピアノにつけても効果があるのか、気になりますよね。
取り付けることで、デメリットもあるのでしょうか?
私の正直な見解をご紹介しようかと思います!
ダンプチェイサーの取り付け方も説明します!
今回は、ダンプチェイサーの取り付け方法は?グランドピアノにも効果がある?と題してお届けします。
目次
ダンプチェイサーの取り付け方法は?
ダンプチェイサーダンプチェイサーと言っていますが、一体何者なのでしょうか?
まず、ダンプチェイサーについて詳しくご説明していきます。
ダンプチェイサーとは
このパイプのようなものが、ダンプチェイサーです。
これをピアノの内部に突っ張り棒のように取り付けて使用します。
ピアノ専用の防湿機です。
パイプはヒーターになっていて、熱を放出してピアノ内部の温度を2~3度高くして、空気の対流を利用して、湿度を下げる仕組みです。
ピアノのスピーカーの役割を担う響板の湿度を安定させることができます。
水はたまらないので、除湿機ではなく防湿機です。
ヒーターは、50℃以上にならない安全設計です。
湿度が50%でオンオフが切り替わる仕組みです。
湿度が50%以上であれば、ヒーターの電源が入り、湿気を予防し、湿度が50%以下であれば、電源が自動的に切れます。
手間がなく安心ですね。
グランドピアノとアップライトピアノ兼用で、どちらにも取り付け可能です。
アップライトピアノに取り付ける場合、ピアノ内部に取り付けるので、響板だけでなく、ピアノ全体の湿度を安定させることができます。
ダンプチェイサーのメリットとデメリット
ダンプチェイサーのメリットとデメリットをまとめてみました。
◎メリット
・ピアノの湿度を一定に保つことができるので、調律が安定する。
・ピアノ部品の湿気による不具合を防止できる。(アップライトピアノのみ)
・一般的な加湿機やエアコンを使用しての除湿よりも電気代が安く済む。
・除湿機は水捨てが必要ですが、ダンプチェイサーはお手入れなどは、ほぼしなくていい。
・響板などの木材を、湿気による膨張、収縮をおさえて、木材の痛みを防ぐことができる。
・金属類のサビを防止することができる。
・木材などのカビを防止することができる。
◎デメリット
・熱を放出して、湿度を下げるということなので、長い目で見て、ヒーターに近い部分の木材にどのような影響があるのか、わかっていない。
・共鳴や雑音の原因になることがある。
・グランドピアノでの効果が、あまり望めない。
このようにみると、メリットが多いですね。
ピアノ用の乾燥剤に比べると、非常に経済的ですし、効果も歴然のようです。
ダンプチェイサーの取り付け方
ダンプチェイサーの取り付けは、アップライトピアノは、比較的簡単にできます。
グランドピアノは、少し難しいかもしれません。
ちなみに、アップライトピアノとグランドピアノ兼用です。
簡単に説明していきましょう。
アップライトピアノの場合
早速説明していきます。
取り付け方
①アップライトピアノの下部にある板(下前板)をはずします。
②画鋲なような部品が付属にあるので、それを親板の内側から金づちでさします。(両側に丁度いい場所に)
③パイプをはめこみます。
パイプの両側は、画鋲をはめこむためのくぼみがありますので、調節ネジを緩めてパイプをはめ込みます。
④付属にU字の部品があるので、本体に2か所U字ネジでとめていきます。
⑤コンセントは、下前板の上の隙間から出します。
コードが通らない場場合は、下前板を切らないといけません。
完成図
グランドピアノの場合
グランドピアノは、木にネジ穴がないので、自力でネジ穴を作らなければいけません。
取り付け方
①下記の画像の1か2の裏側にとりつけます。
1は、2は、響板のあたり、鍵盤の裏当たりです。
1の方がつけやすいと思います。
(内部の鍵盤の奥につける方法もありますが、おすすめしません。)
②U字型の部品をグランドピアノの裏側のつけたい位置にネジで取り付けます。
③調整ネジでパイプの長さを調整して、U字型の部品にひっかけます。
④本体を、グランドピアノの木部(棚板の上の木部や支柱など)にネジで取り付けて完成!
詳細は、取り扱い説明書を確認してみてください。
グランドピアノは難しいので、調律師の人にお願いするのがいいと思います。
取り付け費もそんなに高くないと思います。
調律をすれば、サービスというところもあります。
グランドピアノにも効果がある?
アップライトピアノに非常に効果的なダンプチェイサーですが、グランドピアノにも効果があるのでしょうか?
説明していきます。
グランドピアノへの効果
グランドピアノにダンプチェイサーを取り付ける場合、響板の下のさらに支柱を挟んで下に取り付けることになるので、ヒーターがむき出しの状態になります。
この状態で、果たして効果があるのかというと、おそらく効果は薄いかと思われます。
グランドピアノの場合は、部屋全体の湿度調整をするのが無難かと思います。
ダンプチェイサーは取り付けた方がいいのか
結果的にダンプチェイサーの取り付けは、場合によると思います。
部屋の湿度が高すぎて、エアコンや除湿機でどうにもならない場合は、ダンプチェイサーに頼るのはありかと思います。
例えば、海に近いところや、山奥の湿気が特に多いところは、ダンプチェイサーを取り付けた方がいいと思います。
あと、除湿機などで湿気対策しても、湿度が落ち着かない場合、ピアノの調律や状態が湿気の影響で不安定になっている場合も、取り付けると効果的かと思います。
それほど湿気がなく、窓に結露がつかないような家だったら、ダンプチェイサーはつけない方がいいと思っています。
ダンプチェイサーは、稀にダンプチェイサー自体が演奏中に共鳴や雑音が発生する可能性もあります。
結局、その共鳴に我慢できず、ダンプチェイサーを取り外したというお客様も過去にいらっしゃいましたので…。
それに、私はどうもピアノに穴をあけるということに、どうしても後ろめたさを感じてしまいます。
それによって、響きが大きく変化するということではありませんが、少しでもピアノを大事にしたいというのが、私の本音です。
可能であれば、熱リサイクル式のエアコンか、除湿機の使用が一番効果的です。
ダンプチェイサーを取り付けた際、電源を入れるタイミングが重要
ご説明した通り、ダンプチェイサーは防湿機です。
ダンプチェイサーを取り付け後、湿度が高い梅雨の季節や夏場に電源をつけたくなるかと思いますが、この時期は避けたほうがいいです。
梅雨以降の湿気が多かった分、ピアノは水分を含んでいます。
そんな状態でダンプチェイサーの電源が入り、除湿が始まると、急激にピアノ内部の湿度が下がることによって、ピアノの音程はかなり狂います。
部品の状態も不安定になるでしょう。
このようなことを踏まえて、乾燥した季節、すなわち冬季の1月~2月ごろに取り付けるのが一番不具合が出にくいかと思います。
梅雨から夏に向けて湿気が増え、秋から冬に向けて乾燥していき、ピアノの水分も抜けていくと考えられます。
冬の時期は、おそらくダンプチェイサーはほとんど作動しないかと思います。
6月ごろからじわじわと湿気が多くなり、ダンプチェイサーが作動して、湿度を一定に保ってくれるので、ピアノの状態も安定するということです。
ダンプチェイサーは、自分で購入して取り付けることもできます。
何も知らずに、湿気の多い梅雨などに電源を入れて作動させて、ピアノの部品の接着の剥がれ、木部の割れなどを引き起こすということもあります。
電源を入れる前に、ぜひ注意していただきたい点です!
まとめ
ダンプチェイサーについてお話してきました。
ダンプチェイサーの取り付けは、アップライトピアノは自分で取り付けることが可能ですが、グランドピアノは少し難易度が高いです。
不安な時は、調律師の人に取り付けを依頼するといいでしょう。
効果については、アップライトピアノは、ピアノ全体の湿度調整がある程度見込めますが、グランドピアノの場合は、そこまで期待できないと思います。
全てのアップライトピアノに取り付けた方がいいかというと、そうではなく、極端に湿度が高い場合や、ピアノの調律がずれやすい場合のみ、取り付けた方がいいでしょう。
そして、一番の理想は、ダンプチェイサーの取り付けではなく、その部屋の湿度を調整した方がいいです。
熱リサイクル式のエアコンか、除加湿空気清浄機を使用して、湿度を40~50%に調整してみてください。
ダンプチェイサーは取り付け後の作動時期も、湿気の多い梅雨などの季節は避け、冬の1~2月ごろに電源をオンにするとよいでしょう。
以上、ダンプチェイサーの取り付け方法は?グランドピアノにも効果がある?と題してお届けしました。