寒い季節に床暖房があると、本当に快適に過ごすことができますよね。
人間にとっては快適な床暖房ですが、床暖房の部屋にピアノを設置しすると、壊れることがあるのでしょうか?
床暖房の上にピアノを設置するとなにか影響があるのか、気になりますよね。
断熱パネル(断熱ボード、断熱材)などで対策をした方がいいのでしょうか?
ピアノの床暖房対策を紹介していきます。
今回は、ピアノは床暖房で壊れる?断熱パネルで対策する?と題してお届けします。
目次
ピアノは床暖房で壊れる?
床暖房の部屋に、ピアノを置くと、壊れることはあるのでしょうか?
寒い時期、人間にとってはとても快適な床暖房なので、最近は、かなり普及されてきています。
ピアノには、どんな影響があるのでしょうか?
床暖房の耐荷重
床暖房の上にピアノを設置するのは、重量に問題ないのでしょうか?
床暖房の耐荷重は、基本的に建築基準法で決められている基準と同じように設計されているはずなので、アップライトピアノであれば、耐荷重的には問題なく設置できます。
グランドピアノも、建築基準法の通りに考えると、床補強をしなくても大丈夫という計算になります。
(建築法によると、「1平方メートルあたり、180kgまで耐えられる」と決められています。)
グランドピアノの場合は、アップライトピアノに比べ重量も大きく、脚が3本しかないということもあって、床補強をしている家が多いように感じます。
アップライトピアノにしてもグランドピアノにしても、床暖房の耐荷重を業者に確認しておいた方がいいと思います。
ピアノは床暖房で壊れる?
結論から申し上げますと、床暖房のせいで、壊れることはあまりありませんが、ピアノにとって、床暖房は、よくはありません。
なぜなのか説明していきましょう。
床暖房によるピアノへの影響
ピアノの大部分は、天然素材でできた木材やフェルトなどでできてきます。
そのため、ピアノは温度変化にとても弱い楽器なのです。
床暖房は、床から熱を出すので、ピアノへ熱が移ってしまうことが、簡単に想像できますよね。
ピアノは熱を受けると、木材やフェルトなどが変形したり収縮します。
そうなると、床暖房の影響でピアノの音程がずれやすくなってしまいます。
そして、床暖房は空気が乾燥しやすいです。
ピアノは、多湿にも弱いですが、過乾燥にも大敵なのです。
乾燥の影響を受けると、これまた音程がずれやすくなり、ピアノのスピーカーの役割を担う響板という木材にひびが入ったり、割れてしまう可能性があります。
響板にひびが入ったり、割れてしまうと、ピアノにとってかなり致命的で、大掛かりな修理が必要になるので、ピアノが壊れたといってもいいかもしれません。
そうなる前に、以下で紹介する対策をしましょう。
ピアノに床暖房は断熱パネルで対策する?
床暖房はピアノにとって、熱や過乾燥の影響でよくないということをお伝えしました。
対策できることとして、以下の方法がおすすめです。
- インシュレーター・断熱パネルを使用する
- 加湿機を使用する
- こまめな定期調律
インシュレーター・断熱パネルを使用する
床暖房による熱からピアノを守るために、ピアノの下部のキャスターには、インシュレーター(コンソールタイプのピアノの場合、敷板)を必ず敷いておいてください。
インシュレーターは、プラスチックのうすいタイプのものを敷いてるピアノが多いと思います。
が、以下のようなごつめのインシュレーターの方が、断熱効果が見込めますし、ピアノがぐらつくことなく、安定して設置することができます。
しかし、インシュレーターだけでは、床暖房の熱がピアノに移ってしまいます。
インシュレーターと併用して、断熱パネル(断熱ボードや断熱材と言ったりもする)を敷くと、より効果的です。
加湿機を使用する
床暖房による乾燥を防ぐためには、加湿機を使用することがおすすめです。
ピアノの湿度管理をする場合、部屋全体の湿度を調整しないと意味がありません。
加湿機を用意する前に、床暖房の部屋にピアノを置く場合は、一度、床暖房使用時の部屋の実際の湿度を確認するようにしてください。
ピアノの最適な湿度は、40~60%です。
人間が快適と思う湿度と同程度ですね。
もともと湿度が高めの部屋だと、床暖房使用した湿度が、ピアノに丁度いい湿度になるという可能性もあります。
その場合、加湿機を使用すると、逆に湿度が高くなってしまう可能性があり、ピアノに不具合が起こるかもしれません。
事前に、湿度計を使って、部屋の湿度を確認するようにしてください。
おすすめの加湿機・除湿機
部屋の湿度が40%前後と低めになる場合は、加湿機を使用するようにしてください。
以下のような、湿度が設定できるものがおすすめです。
湿度が高い場合は、除湿機を使用しましょう!
「湿気対策なら、ピアノ用の乾燥剤でもいいんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ピアノに乾燥剤は、ほとんど効果がありません。
部屋全体の湿度を調節させないと、ピアノにとってほとんど意味がありません。
こまめな定期調律
床暖房による熱からピアノを守るために、インシュレーターや耐熱ボードを使用したり、加湿機を使用して、過乾燥を防いで、床暖房対策することがおすすめだとお伝えしました。
しかし、いくら対策をしても、完全に熱を防ぐことは不可能で、ピアノに負担はかかりやすいので、床暖房の部屋にあるピアノの状態は、不安定の傾向にあります。
なので、こまめに定期調律をすることがおすすめです。
床暖房を使用している部屋にピアノを設置している場合、最低でも1年に1回程度はしておきましょう。
新築など床暖房工事をする場合
新築などで、床暖房工事をする予定の場合、ピアノが面しているところは、床暖房を敷かないように床暖房の業者に、依頼しておいた方がいいでしょう。
ただ、やはり床暖房の部屋にピアノは向いていないので、床暖房のない部屋にピアノを設置することが、一番おすすめです。
ピアノと床暖房のまとめ
床暖房の部屋にピアノは設置しても、大丈夫ではあります。
しかし、床暖房による熱や乾燥によって、ピアノが壊れるということもあるので、なにかしらの対策をした方がいいです。
熱から守るためには、ピアノのキャスターにインシュレーターを敷いて、さらに断熱パネル(断熱ボード、断熱材)を敷いておくことがおすすめです。
乾燥から守るためには、加湿機を使用して、部屋全体の湿度を調節することが大切です。
そして、対策をしていても、床暖房の影響は完全に防ぐことはできないので、ピアノの状態は不安定になる傾向にあります。
1年に1度は、定期調律をすることが必要です。
しかし、やはり床暖房のない部屋にピアノを設置することが一番理想です。
可能な限り、ピアノに負担をかけないように、心がけていただけると調律師として嬉しく思います。
以上、ピアノは床暖房で壊れる?断熱パネルで対策する?と題してお届けしました。